寒空の下で、大きく一つ欠伸をする。
白い息が口から漏れていって、ユラユラと揺れた。
「ねえ、寒いの?」
コンビニからの帰り道。
安っぽいビニール袋をかさかさと鳴らしながら歩いていると、突然後ろから声を掛けられた。
―それは、恋。―
「…あんた、誰?」
声を掛けてきたやつをじっと凝視してみる。
よれよれのTシャツ一枚を羽織っていて、オシャレなのか何なのか、穴の開いたジーンズをぶかぶかに履いていたそいつは、よく見たら美形で。
もう12月だというのにそんな恰好をしているせいか、鼻先が赤く染まっている。
「あ、俺?俺はドンへ。そっちは?」
「…ヒョクチェ、だけど。」
「ヒョクチェかぁ。ね、ヒョクチェ、寒いんでしょ?」
「ま、まあ…」
「じゃあさ、ちょっとここら辺の服屋行かない?」
こて、と可愛らしく小首を傾げてドンへは言った。
美形だからか、思わず頷きそうになったけど、ちょっと待て。
良く考えればおかしい。
いや、初対面の奴とこんな話をしている事自体もおかしいが、普通初対面の人間と服屋なんていかない。
大方、金でも使わされるんだろう。やめておかないと。
「俺は行かない。つーか、俺よりお前の方が寒そうに見えるけど。」
「え…」
「だって、この時期にそんな恰好…寒いだろ。」
俺がもう一度ドンへを凝視しながら言うと、
ドンへはキラキラと目を輝かせた。
今にでも飛びついてきそうな瞳に一瞬たじろいだが、なんだか自分がいいことをしたみたいに見られていて、悪い気はしない。
「ね、ね、ヒョクチェ!それってそういう意味だよね!?」
ぴょんぴょんと跳ねながら、よっしゃーってガッツポーズをするドンへ。
さっぱり意味が分からなくて、「はあ?」と
首を傾げると、ドンへは駆け寄ってきて、がっしりと俺の手を握った。
「それって、拾ってくれるってことでしょ!?」
「な…」
な、なんだそれ!!
拾う?何だよ、こいつ何者だよ!!
てかなんでそういう発想に行きつくんだ!?
「よっしゃー!俺ヒョクチェのこと気に入ったから、ちょー嬉しい!!」
ぽかん、と口を開けた俺に構わず、ドンへは俺の手を握ったまま飛び跳ねる。
ぶんぶんと上下に振られる腕が痛いけど、
肌に突き刺さる風が冷たいけど、
今はとりあえず、それどころではない。
「ちょ…ちょっと待て!俺は拾うなんて言ってないぞ!!第一拾うって…お前何者だよ!!!」
息を切らしてそういうと、ドンへはまた、首を傾げた。
「俺を拾わない理由なんて、あるの?」
時刻は日付が回ったころ。俺はとんでもないヤツと出会ってしまった。
白い息が口から漏れていって、ユラユラと揺れた。
「ねえ、寒いの?」
コンビニからの帰り道。
安っぽいビニール袋をかさかさと鳴らしながら歩いていると、突然後ろから声を掛けられた。
―それは、恋。―
「…あんた、誰?」
声を掛けてきたやつをじっと凝視してみる。
よれよれのTシャツ一枚を羽織っていて、オシャレなのか何なのか、穴の開いたジーンズをぶかぶかに履いていたそいつは、よく見たら美形で。
もう12月だというのにそんな恰好をしているせいか、鼻先が赤く染まっている。
「あ、俺?俺はドンへ。そっちは?」
「…ヒョクチェ、だけど。」
「ヒョクチェかぁ。ね、ヒョクチェ、寒いんでしょ?」
「ま、まあ…」
「じゃあさ、ちょっとここら辺の服屋行かない?」
こて、と可愛らしく小首を傾げてドンへは言った。
美形だからか、思わず頷きそうになったけど、ちょっと待て。
良く考えればおかしい。
いや、初対面の奴とこんな話をしている事自体もおかしいが、普通初対面の人間と服屋なんていかない。
大方、金でも使わされるんだろう。やめておかないと。
「俺は行かない。つーか、俺よりお前の方が寒そうに見えるけど。」
「え…」
「だって、この時期にそんな恰好…寒いだろ。」
俺がもう一度ドンへを凝視しながら言うと、
ドンへはキラキラと目を輝かせた。
今にでも飛びついてきそうな瞳に一瞬たじろいだが、なんだか自分がいいことをしたみたいに見られていて、悪い気はしない。
「ね、ね、ヒョクチェ!それってそういう意味だよね!?」
ぴょんぴょんと跳ねながら、よっしゃーってガッツポーズをするドンへ。
さっぱり意味が分からなくて、「はあ?」と
首を傾げると、ドンへは駆け寄ってきて、がっしりと俺の手を握った。
「それって、拾ってくれるってことでしょ!?」
「な…」
な、なんだそれ!!
拾う?何だよ、こいつ何者だよ!!
てかなんでそういう発想に行きつくんだ!?
「よっしゃー!俺ヒョクチェのこと気に入ったから、ちょー嬉しい!!」
ぽかん、と口を開けた俺に構わず、ドンへは俺の手を握ったまま飛び跳ねる。
ぶんぶんと上下に振られる腕が痛いけど、
肌に突き刺さる風が冷たいけど、
今はとりあえず、それどころではない。
「ちょ…ちょっと待て!俺は拾うなんて言ってないぞ!!第一拾うって…お前何者だよ!!!」
息を切らしてそういうと、ドンへはまた、首を傾げた。
「俺を拾わない理由なんて、あるの?」
時刻は日付が回ったころ。俺はとんでもないヤツと出会ってしまった。
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