自業自得。

悪い子にはお仕置きなんて、当たり前でしょ?



だって、俺だけを見てればいいのに。ずっとずっと、何があっても、死ぬまで。





―ジゴウジトク―







「ドンへの、ばか…」


小声でそういったヒョクチェの顔は、熱でもあるんじゃないかと言うほど赤い。
ドンへは楽しそうにヒョクチェを見つめながら、笑った。


「だって、ヒョクチェが悪いんでしょ?」

「それは偶然だって言っただろ!!」


声を張り上げるヒョクチェの腰を、ドンへはぐいっと引き寄せる。
驚いたように目を見開くヒョクチェの耳に軽く息を吹きかけると、
ヒョクチェは何とも可愛い声で鳴いた。

そそられる。理性さえも、奪われてしまう。


「ねえ、ヒョクチェ。いい加減自分のせいだって認めたら?」

「な…ち、違うって言って…」

「違う?何が違うの?女とホテルに入って行ったの見られてんのに、何言ってんの?」


ドンへはすっかり大きくなってしまったヒョクチェのものを服の上から弄った。
相当きているのか、既にズボンは濡れている。


「や、ドンへやめ…あっ!!」

「もうこんなに濡れてんだ。へえ、随分やらしいね。昨日ヤッたから?」

「ち、ちが…やあ…」


ドンへがズボンの中に手を入れていくと、小刻みにヒョクチェの体が震える。
バカなヒョクチェ。感じてるってバレバレ。


「あーあ…結構奥に入っちゃったね…」

「もうやだぁ…んっ…は…どんへとって…」

「いーや。今日はこれで一日中過ごしてもらうんだから。」

「やっんん!!はっ…ひゃぁ!!!」


勢いよくなかに指を入れると、指先にコツリと固いものがあたる。
それは間違いなく、朝、ヒョクチェのなかに入れたマジックペンだった。

ドンへは指を抜くと、テラテラと光る液をヒョクチェの首筋をつける。
ビクリと体を震わせて、苦しそうに顔を歪める。

そういう顔をすれば、許されると思ってんの?


ふざけんな、バカ。



「今日一日中、そのまんまね。」


ドンへはニヒルに微笑む。
目じりに涙をためるヒョクチェは、そんなドンへの笑顔に脅えているようにも見えた。

悔しくて、恨めしくて、恥ずかしくて、それでもやっぱり快感に勝てないヒョクチェを見てみたい。
ぐずぐずに壊れて、乱れて、一心不乱に快感を求めるヒョクチェが見たい。


でももし、ヒョクチェが他の奴にそんな姿を見せたら、きっと俺は、見た奴を殺してしまうかもしれない。


 *******


スポットライトの中で、メンバー達は和やかにリハをこなしている。
ダンス中にふざけ合って、休憩中にはバカ騒ぎが続く。

そんな様子を眺めていたドンへは、上がってしまう口角を隠すのに必死だった。


「ん…はぁ…」


メンバーが集まって談笑をしているときも、ヒョクチェは一人でステージにしゃがみ込んでいる。
顔を真っ赤にさせて、ギュッと目を瞑っている姿は、必要以上にドンへを煽った。

ヒョクチェは我慢できないのか、頻りに腰をくねくねと動かす。
そんな姿が艶めかしくて、ドンへだけでなく、他のメンバーだって、時々ヒョクチェに視線を送る。


「どうかしましたか?ヒョクチェヒョン。」


蹲るヒョクチェの傍に、暇を持て余したキュヒョンがしゃがみ込む。
ヒョクチェは、あからさまにホッとしたような笑顔を浮かべる。


「ヒョクチェヒョンもあっちいきません?ずっとここにいちゃつまんないでしょ?」


キュヒョンが立ってヒョクチェに手を伸ばすと、あっさりとその手をヒョクチェが掴んで立ち上がる。
邪魔された。せっかく我慢するヒョクチェが見れてたのに、これじゃつまらない。

ドンへが睨むように二人を見ても、キュヒョンとヒョクチェは仲良さげに笑いあうだけだった。


「さ、行きましょうか。ヒョン」


キュヒョンが不意に、ヒョクチェの腰に手を回した。


「んやあ!!!」


ヒョクチェは大きく体をビクつかせて、ゆるゆると座り込む。
その声に驚いて、メンバーは一斉にヒョクチェを見た。

へたり込むヒョクチェに、キュヒョンは唖然として視線を送っていた。
もちろん、ドンへも。


「あ、あの…ヒョン?大丈夫…?」

「やあ…も、無理…きゅひょ、なぁ…は…ん…」


ごくりと、キュヒョンの息を呑む音が聞こえた。
メンバーは全員、顔を真っ赤にしているヒョクチェを食い入るように見つめている。

まずい。こんなはずじゃない。
こんな姿は、絶対に誰にも見せちゃいけないのに。


「ヒョ、ヒョクチェヒョン。とりあえず立って…」

「や、ダメ…が、まん…できな…ふぁ…」


もじもじと腰を動かすヒョクチェは、妖艶な雰囲気を出している。
キュヒョンの視線が一点に集まっているのが分かる。
いつの間にか、キュヒョンは耳まで真っ赤になっていて、ヒョクチェのつむじを見つめていた。


「ひょ、ひょん…だいじょう…」

「ヒョクチェ!!!!」


キュヒョンが手を伸ばそうとしたその時、ドンへが軽々とヒョクチェを持ち上げた。
驚いたようにドンへを見つめるヒョクチェも、すぐに顔を歪めて泣き出してしまう。


「ごめん、キュヒョナ。俺が様子見てみるから!」


ドンへはヒョクチェを抱えて、一目散に走り去っていく。
背中には、名残惜しそうなキュヒョンの視線がぶつかった。


 *******


「ドンへのばか…」


すっかり涙目のヒョクチェは、取り出されたヌルヌルのマジックペンとドンへを交互に見て言った。
申し訳なさよりも、あんなヒョクチェを見られたことに、ドンへは眉を寄せる。


「ヒョクチェが、全部悪いんじゃん…」

「だから!あれはたまたま酔いつぶれた女優さんをホテルに送っただけで…」

「でも、朝帰りしたし。」

「だってそれは、疲れてて寝ちゃって…」


それでも、見たんだ。
ヒョクチェに声をかけなかったのは、他でもない。喉が窄まって、声が出なかった。







―ヒョクチェは、俺だけを見ていればいい。何があっても、ずっと…








底知れない束縛力。
分かってる。自分は少し、異常だ。それも、ヒョクチェのことになると、特に。


「ねえ、ヒョクチェ。」

「何?」

「ヒョクチェは、俺だけを見てくれる?」


ヒョクチェは頬を赤くさせて、こっくりと深く頷いた。


「俺は、ヒョクチェしか見えてないから。何があっても、死ぬまで、ずっと。」

「………バカだなぁ、ドンへ」



ヒョクチェは肩を揺らして笑う。
そして、ゆっくりとドンへの耳元に唇を寄せた。









―死んでからもずっと、俺だけを見ててよ。













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