〝ごめん〟


ねえ、どうして謝るの?

どうして涙を流すの?




―ごめんね、もっとずっと、君の隣にいたかったのに。





―It is pardon to you.―








いつも我儘ばかりで。

いつもバカで泣き虫で。


君はずっと、そんな僕の隣で、無理して笑っていてくれたの?






「ヒョクー」

「ん?」

「今日さ、一緒に帰らない?」


んー、とやる気のないような返事をしたヒョクチェに抱き着くと、ペシッと腕を叩かれる。
それでも、何だかんだ言って許してくれるってことは、ヒョクチェも満更ではないってことで。


「つーかドンへ、お前明日早いんじゃなかったっけ?」

「ん、早いけど、多分大丈夫」

「多分って…俺、今日結構遅くなるけど?」



何だかんだ言って、ヒョクチェは俺の心配をしてくれる。
それがすごく嬉しくて、なんだかちょっとくすぐったい。

でもずっと、こうしてヒョクチェの隣で笑っているのは、当たり前のように、俺だと思っていた。



「じゃ、俺次撮影だから、さっさと離れろ」


へーい、と間抜けな声を出しておどけると、
バーカ、とヒョクチェが噴出して笑った。

楽屋を出るヒョクチェの後姿に、「ヒョク大好きーッ!」とふざけて声を投げつけると、周りのメンバーが笑いだすのと同時に、ヒョクチェが振り向いた。


「……ばかドンへ…」


ぼそり、と笑って言ったヒョクチェは、すたすたと足早にスタジオへ消えて行った。


よく見れば、ヒョクチェは少し、悲しそうに笑っていた。



「ちょっとドンへー!いちゃいちゃするのもほどほどになー!!」


ドンヒヒョンの冷やかしが飛ぶと、周りのメンバーも次々に声をあげた。


確かに、いっつもいちゃいちゃしてるよねー!

ちょっとラブラブすぎじゃない?

見てるこっちが恥ずかしくなるって言うか…



―そんなこと、ない。




皆は気づいてないだろうけど、ヒョクチェはまだ一度も、俺のことを好きなんて言ってない。
どうせただの照れだろうけど、本当に、言ったことがない。



ごめんね、ヒョク。









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